幼児期に算数の基礎を育むモンテッソーリ教育

幼稚園児クラスのモンテッソーリ活動で、計算棒を使ったグループ活動を行い、算数の基礎を育んでいます。
計算棒でグループ活動をする幼稚園児

何かと難しく感じる算数。幼児期に算数の基礎を理解することで、小学校からスタートする本格的な勉強で自信を持って算数に取り組むことができます。モンテッソーリの教具の良さは、視覚や触覚を使って具体的な量を体験できること。モンテッソーリ教育では、自分で選び、満足感を重ねる中で算数の基礎的な考え方が自然に身についていきます。子どもの観察から科学的、実践的に生み出された手法にいつも感動を覚えます。

 

算数が身につく基礎的な考え方

算数の基礎の考え方を伸ばすさまざまな教具が用意されています。
算数の基礎を伸ばすモンテッソーリの教具

小学校からの本格的な勉強がスタート。算数では、

  • 繰り上がりや繰り下がりの必要な計算、余りの出る割り算、小数の計算
  • 長さ、平面図形、立体図形
  • 水のかさ、時間の考え方、割合の考え方

など、低学年から高学年に進むにつれ、内容も複雑になり、難しく感じて苦手意識を持つお子様も増えがちです。

 

幼児期に算数の基礎をおさえることで算数を理解する力は確実に身に付きます。

モンテッソーリ教育では、幼児期に次のような考え方を育むことを大切にしています。

 

 

①対応・順序・分類づけ

お子様は「1、2、3‥」と、順番に数を言えるようになります。

  • 「数字がわかるようになった!」

とうれしい気持ちになるのですが、数の言葉「数詞」を理解し始めたスタートの段階です。

これからの様々な計算や考えを深めるためには、

  • 対応づける
  • 順序づける
  • 分類づける

の操作を理解することが必要です。

感覚教具を用意して、これらのの操作を身につけていただいています.。

 

②数詞・数字・数量の対応づけ

  • 数詞(「1、2、3‥」の数を示す言葉)
  • 数字(文字)
  • 数量(数字に対応した長さや大きさなどの量)

の3つを対応づける力が大切です。

計算棒、錘形棒(すいけいぼう)や玉などの教具でこれらの対応づける力が育まれます。

 

こういった基礎的な力をを身に付けることで、小学校までに

  • 十進法
  • 足し算、引き算、かけ算、割り算

といった高度な内容まで理解を深めることができます。

 

ピンクタワーで順序づけ

感覚教具のピンクタワーを使った活動を行い、順序づけの感覚を育んでいます。
ピンクタワーの活動で順序づけの感覚を育む2歳児

ピンク色の10個の木製の立方体です。

1辺が1cmから10cmまで、1cmずつ違った立方体を積み上げると、タワーのようになることからピンクタワーと呼ばれています。

10個積み上げると55cmの高さで、色合いと秩序だった構成に魅了されます。

 

2歳児のお友だちが、立方体を順番に積み上げています。

まず視覚を使います。

目で見て、サイズの異なった立方体の中から次の順番のサイズの立方体を探します。

次に触角を使います。

手に取って、大きさや重さを感じながら積み上げます。

大きさを確認して、手で持つことで大きさや重さを体験します。

何回も繰り返しながら、順番に積み上げることができるようになります。

 

正しい順番に直そうせずに笑顔でお子様を見守っているお母様。

素晴らしいです。

視覚や触覚で順序を体験しながら、正しく積み上げるようになる過程が大切なのですね。

 

お友だちの様子をみながら「やってみる?」と声がけ。

興味を持ったステッラコース(1歳児)のお友だちも取り組んだりします。

 

数の棒で数量と数字、数詞を対応づけ

数の棒を使った活動で算数の基礎となる考え方を育んでいます
数の棒の長さに合わせて数を数える幼稚園児

10cmから100㎝まで10㎝刻みで長さの異なる10本の棒です。

10㎝が「1」、20㎝が「2」と、1から10までの数字と対応。

「1」から「10」までの数字のカードも用意されています。

10㎝ごとに、赤、青と交互に塗られていて、10㎝の部分を手で握りながら数えることで、長さと対応した数字をしっかり確認することができます。

次のようなステップでお友だちが活動を行います。

  • 一番短い棒を選ぶ
  • 10㎝の中央部分をにぎって、「いち」と言葉に出して数えます。
  • 10㎝の棒に対応する「1」の数字カードを選んで、横に並べます。

慣れてきたら、

  • 「5」の数字カードを選んで、対応する棒を探す

といった活動も加えていきます。

 

算数の活動はなかなか自分で選びにくい活動です。

幼稚園児クラスで、数の棒を使ったグループ活動を行いました。

グループで行うと、みんなと一緒にやってみようと興味がわきます。

他のお友だちの活動を見ることで理解を深めます。

見ることだけでも大きな学習効果があります。

 

1から5までは長さを確認しながら、数えることができますが、5を超えるとなかなか難しいようです。

10㎝ごとに棒を握る動作で、視覚と触覚の両方を使いながら、飛ばしたり重複したりすることなく、しっかり数えることができます。

また、数の棒を使うことで、10までの数の足し算と引き算を視覚と触覚で体験することができます。

これを発展させて、繰り上がりや繰り下がりの理解へと進めることができます。

 

視覚や触覚を使って具体的な量を体験

算数の基礎を理解することで、小学校で自信を持って算数に取り組むことができます。

生活や世界を理解するのに欠かせない算数を身に付けることで、興味がぐんぐん広がります。

 

モンテッソーリの教具の良さは、視覚や触覚を使って具体的な量を体験できることです。

また、正しくできたときに構成された立体の美しさに大きな満足感を味わうことができます。

自分で選び、満足感を重ねる中で、算数の基礎的な考え方が自然に身についていく様子を見ることができるのは、モンテッソーリ教育の醍醐味。

子どもの観察から科学的、実践的に生み出された手法に、いつも感動を覚えます。

 

生活の中でもいろいろ工夫できます。

たとえば

  • おやつや食事で「今日はここから3つ取ってね」

といったように、具体的な量と数を一致させる体験を重ねていただければと思います。