0・1歳児の親子で学ぶクラスで、モンテッソーリの個別活動中にこんな質問がありました。
お子様が円柱さしの活動に取り組んだのですが、難しかったのでしょうか?
「しない!」
と活動をやめたとのことでした。
「自分ができなかったらすぐやる気を失ってしまって‥」
「できるようにするにはどうしたらいいのですか」
そこで次の3つのポイントをアドバイスさせていただき、ご納得いただきました。
- 興味がわいて自分で選ぶ時を待つ
- やり方をしてみせる
- 否定しない
保護者様にモンテッソーリ教育の視点でアドバイスさせていただき、ご納得いただきました。
育児の中で皆さんが必ずぶつかる壁です。
小さいなお子様は興味のないことや嫌なことは決してしようとしません。
1歳を過ぎて自分の意志が出てくるようになると、
「イヤ」
とはっきり主張するようになります。
無理にさせることは、お子様の感情を逆なでしたり、ストレスを与えることになり、避けなければいけません。
辛抱強く見守っていくことがとても大切です。
円柱さしの活動
モンテッソーリ教育では、幼児期の感覚の敏感期に対応して、感覚教具というものが用意されています。
感覚教具として一番最初に取り組むものに円柱さしがあります。
- 円柱さしA 太さは同じで、高さが順番に10段階になっている円柱
- 円柱さしB 高さは同じで、太さが順番に10段階になっている円柱
- 円柱さしC 高さと太さが共に異なり、高くて太いものから低くて細いものに順番に10段階になっている円柱
- 円柱さしC‘ 高さと太さが共に異なり、低くて太いものから高くて細いものに順番に10段階になっている円柱
円柱を取り出して、ぴったり合う穴を探してはめていく活動を行うことで、思考の基礎となる次の操作が身についていきます。
- ペアリング 同じ穴ぴったりのところに対にしていく操作
- グレーディング 順序づける操作
最初は太さだけが変わる円柱さしBから取り組んでいただいています。
柱の太さと同じ穴を探せばよいので、対にする操作がわかりやすいためです。
1歳児が円柱さしの活動にチャレンジ
もうじき2歳を迎え、いろいろな活動ができるようになったお子様。
感覚教具の棚にある円柱さしを見つけ、興味津々です。
これは取り組む絶好のチャンス!
「初めてなので円柱さしBをやってみてはどうですか」
とアドバイスしました。
保護者様といっしょにじゅうたんを敷いて、棚から円柱さしBを運びます。
円柱10個全部を一気に出しました。
その中から円柱を選んでぴったりの穴を探します。
これかなと円柱と穴を合わせてもあいません。
保護者様が
「ぴったりじゃないね。どれかな」
とお子様に声掛け。
でも、穴の数が10個と多いので大変です。
一つ一つの穴と円柱を確認している間に、いやになってしまいました。
「もうしない」
そばでいっしょに見守っていた講師(私)に
「自分ができなかったらすぐ、やる気を失ってしまって…」
と、お母さまは残念そうです。
援助のしかたでお子様は変わります
「できるようにするにはどうしたらいいのでしょうか」
保護者様から質問を受けました。
せっかく選んだ教具、お子様の能力を伸ばす絶好のチャンスを大切にしたいですね。
次のようなことを行いながら、じっくり見守るようにお話させていただきました。
①興味がわいて自分で選ぶ時を待つ
受動的に与えられた活動ではなく、能動的に自己選択させます。
沢山の中から選ぶことは、最初のうちは難しいかもしれません。
また、自分で選んだものができるとは限りません。
自分で選んでうまくできない経験をすると、ピッタリの活動を選ぶことが上手になります。
時間の感覚も身についてきて、やりとげるのに時間がどのくらい必要かも身につくようになります。
②してみせる
最初に、正しいやり方をしてみせてあげてください。
「してみせる」ことで、正しくできる印象が残ります。
やってみてできなかったら無理にさせません。
また、次の機会に誘ってみたりします。
わからせようと教えることはかえって嫌がられ、やる気を失わせることになります。
子どもが援助を求めたら、もう一度してみせてあげてください。
③否定しない
「違う」
「できないね」
など、否定的な言葉に子どもはとても敏感。
やる気をなくしたり、自分はできないと思うようになってしまいます。
モンテッソーリの活動は子どもが主役
モンテッソーリの教具は、間違いが自分でわかるようにつくられています。
間違いを指摘して教え込まなくても、子どもが自分で気がついていきます。
大人が正解、不正解の判断をする必要はありません。
子どもが判断して行うように援助するだけ。
「これはぴったりだね」
「これはぴったりでないね」
と言うように、判断の基準を視覚、触覚などの感覚でつかむことができるように援助することがポイントです。
円柱さしの活動を嫌がっていたお友だちもしばらくすると、活動に楽しく取り組むようになりました。
子どもの成長する力、吸収する力を信じて見守り続けることの大切さを再認識しました。
0歳児・1歳児の親子で学ぶクラスは、こちらの保護者様のように活動を実践する中で具体的に学んでいくことができます。
お子様の成長だけでなく、保護者様も成長する機会をどうぞご活用ください。