モンテッソーリ教育では、それぞれの敏感期に対応した教具による活動が良く知られていますが、日常生活の練習にもしっかり取り組んでいます。
掃除、洗濯、料理、食事から挨拶まで家庭の中でおとなが行っている日常生活を練習することで、心・知性の発達や文化の吸収を促します。
バンビーニクレアーレでは、ランチタイム(2歳児・フィオーレコース)やおやつタイム((0歳児・ピッコロ、1歳児・ステッラコース)を設けて、楽しく日常生活の練習に取り組んでいます。
モンテッソーリ教育で取り組む「日常生活の練習」
モンテッソーリ教育では、次の4つの分野で「日常生活の練習」という活動に取り組んでいます。
- 基本的な運動:歩く、立つ、すわる、運ぶ、折る、注ぐ、縫う、切る など
- 社交的なふるまい:挨拶、返事、感謝、おわび、物の受け渡し、食事のマナー など
- 環境への配慮:掃除、洗濯、花の水切り、動植物の世話、作業の準備 など
- 自己への配慮:衣服を着たり脱ぐこと、靴の手入れ、持ち物の始末、歯みがき、手や足、顔の洗い方 など
日常生活で私たちおとなが行っている活動が本当にたくさんあり、ビックリしますね。
感覚教具と同じように、運動を通して心や知性の発達が促されます。
また、生活スタイルを学ぶことで、自分の国や地域の文化が自然に身につくことも「日常生活の練習」のとてもよいところだと思います。
おやつタイムで「日常生活の練習」
「みんなで集まって、同じものを分け合って食べることが、日常生活面に加えて、集団生活を営む生物的側面からも、子どもにとても大切です。」
モンテッソーリ教育第一人者の百枝先生から教えていただきました。
そこで、バンビーニクレアーレでは、レッスンの中で、みんなで集まって食べる時間を設けています。
フィオーレコース(2歳児)はランチタイム。
みんなで集まって持ってきたお弁当を「いただきます」。
ピッコロコース(0歳児)、ステッラコース(1歳児)はおやつタイム。
みんなで集まってお米のせんべいを「いただきます」。
お弁当やおやつをみんなといっしょに食べる中で、座る、食べるといった基本的な運動や、「いただきます」「ごちそうさま」のあいさつやまわりのお友だちへの気づかいなどの社会的なふるまいを練習していただきます。
モンテッソーリの活動とリトミックのレッスンに集中してきたお友だちがホッと一息つく時間。
笑顔を交わしあいながら、お弁当やおやつを楽しそうに食べます。
和やかな雰囲気の中で、日常生活の練習ができる素敵な時間です。
みんなで机を拭こう
食べる前には、テーブルを拭かないといけませんね。
フィオーレ(2歳児)のお友だちは、用意した小さなタオルを自分で絞って机を拭いています。
環境への配慮の練習が自然にできます。
ピッコロ(0歳児)、ステッラ(1歳児)のお友だちは、タオルをまだ上手に使うことができないので、お母様や講師の大人で机を拭いていました。
せっかくの練習できるチャンスなのに‥
と、惜しい気持ちが続いていました。
そこで、小さなお友だちが机を拭くことができる用具をそろえました。
- スポンジ:前もって水を含ませたスポンジで机を拭く
- 手袋:手袋に手を入れて、机に残った水を拭きとる
小さなお子様でも扱いやすい用具を使って、タオルの機能を2つに分けています。
木曜日は、ピッコロ、ステッラのお友だちがいっしょにおやつをいただきます。
スポンジと手袋をかごに入れて、テーブルにそれぞれ置きました。
お母様がやり方を示すと、お友だちは、小さな手でスポンジを持ってテーブルを拭き、手袋に小さな手を入れて、水分を拭き取ります。
とても丈夫に机拭きができました。
「あー良かった!」
自分の体を自分の意志で思い通りに使えてうれしい気持ちでいっぱいです。
おやつタイムに、環境への配慮として机を拭く活動を取り入れることができました。
お子様は、大人をよく見ています。
大人のすることをしたい気持ちでいっぱいです。
この気持ちを上手に受け止めて、日常生活の練習をご家庭でどんどんさせてあげて下さい。
次の点がポイントになります。
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本物のお仕事を提供しましょう。(おもちゃはNG)
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小さなお子様が扱いやすいサイズや作業のやり方を工夫しましょう。
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じっくり見守りましょう。
日頃何気なく行っている大人の行動は、実は難しいことばかり。
お子様がなかなかできないと、あせる気持ちがどうしても出てしまいます。
心配しないでください。
お子様はいつか必ずできるようになります。
大切なのは、どうやってできるようになるのか、「過程」です。
毎日の悪戦苦闘から、心や知性、そしてお子様の生きる力が磨かれていくのだと思います。
いろいろと便利になって何でもすぐにできる時代だからこそ、「待つ」気持ちをしっかり持ち続けなければと思います。