
モンテッソーリの活動では、日常生活の練習や感覚、言語、数、文化の分野で教具を用意しています。子どもが自分で好きな教具を選んで活動。納得、満足するまで活動を行い、自分で活動の終了を決め、もとの位置に戻します。
活動を通して、これからの生活に必要な身体能力、基礎的な感覚や知識が養われます。
大人の役割は、子どもに教具の選択を促したり、活動の仕方を「して見せる」ことです。
わからないことや困りごとが出て、子どもからヘルプのサインが出たらサポート。
大人の役目は「教える」のではなく、「援助」すること、いつでも援助できるように「見守る」ことが大切です。
自分で活動に取り組み、試行錯誤を繰り返す中で、できる仕方や方法を「発見」するのです。
「発見」を積み重ねる中で、学校での勉強や社会での複雑な課題の解決に必要な「やり抜く力」や「創造力」などの非認知能力が育ちます。
大人が見守ることで、幸せな大人になるためのかけがえのない財産が培われます。
幼稚園児 色が順序よく整ったネックレスを完成

幼稚園児クラスの年少のお友だち。
ネックレスづくりの活動に取り組んできました。
- 針に糸を通す
- ピンク、水色、黄色の三色のストローと飾り板の中から好きなものを選んで、針で糸に通す
- 糸の長さだけ飾りがついたら、糸の端と端を結んで完成
この活動を通して、
- 両手を使った手の調整能力
- 飾りを選んで並べる感覚や整理する力
が養われます。

ここしばらく、毎回のレッスンで作り続けています。
回数を重ねているので、
「もう上手に通せるようになったから色の順番も自分で決めてみたりもできるよ。」
「もっときれいなものができるかもしれないね。」
と少しアドバイス。
今回のレッスンでも集中して取り組みました。
作ったネックレスを持ってニコニコしています。
できばえにびっくり。
黄色、ピンク、水色の順番を自分で決め、ストローと飾り板を通し、きれいに仕上がっていました。
「色が順序よく並んできれいだね」
お友だちはにっこりうなずきました。
繰り返し製作する中で、アドバイスをヒントに色を順番に通すことを発見し、見事に仕上げたのです。
本当に素晴らしいです。
母子分離・2才児 ネジの溝にドライバーが入ったよ

母子分離のフィオーレコースに入ってきたばかりのお友だちです。
ネジ回しの活動に取り組みました。
- 土台に取り付けられたいろいろな直径のネジをドライバーを使ってはずす
- はずしたネジをドライバーを使って、土台に取り付ける
- プラスネジとマイナスネジの2種類があるので、プラスネジとマイナスネジの2種類を用意、ネジに合わせてドライバーを使い分ける
この活動で
- 手の調整能力
- 大きさや違いを認識、整理する力
が養われます。
ネジに合うドライバーを選び、ドライバーの先をネジの溝に当てて回す複雑な作業が必要ですが、本物のネジやドライバーに触れることができるので、子どもたちの大好きな活動です。

お友だちは、プラスのドライバーとマイナスのドライバーを両手に持って、ネジの頭に当てています。
何度も繰り返すお友だち。
「入った!」
声を出して、顔いっぱいの笑顔です。
右手に持っていたマイナスドライバーの先が、マイナスネジの溝に入っていました。
「入ったね」
声がけにうなずきながら、他のネジにもドライバーの先を当てて試し続けました。
複雑な活動の第一歩、ドライバーの先がねじの溝に入ることを発見しました。
自分の発見に手応えを感じた笑顔でした。
本当に素晴らしいです。
親子クラス・1歳児 コイン落としの新しいやり方を発見

4月から母子分離コースに進むお友だち。
いろいろ活動をする中で、コイン落としの活動を選びました。
- カゴに入っているコインを木箱の溝から中に落とす
- コインを全部落としたら、コインが落ちた木箱の引き出しを取り出す
- 引き出しの中のコインをカゴに入れ、引き出しを木箱に戻す
この手順を繰り返して活動します。

お友だちはコインを落として引き出しを取り出したあと、中をじっと覗いています。
コインの入っていたカゴを木箱の中に入れました。
引き出しに入っているコインを溝から落とします。
木箱の中を覗きながら、カゴの位置を調整しています。
お友達の行った活動の手順は
- コインを落としてから引き出しを取り出す
- カゴを木箱の中に入れ、引き出しの中からコインを取って、木箱の溝から落とす
- コインを全部落としたら、コインの入ったカゴを取り出す
- カラの引き出しを木箱に入れ、かごからコインを取って、木箱の溝から落とす
コイン落としの活動で、引き出しとカゴを交互に使うことを発見したのです。
「こういった使い方があるのか!」
本当にびっくり、お友だちから教えられました。
先生(大人)の位置づけ

先生(大人)、教具、子どもの関係について大きく2つの位置づけがあります。
- 先生(大人)が教具を使って子どもに知識や技術を教える
- 先生(大人)が子どもに適した教材を準備し、子どもが教材を使って活動に取り組む(援助)
モンテッソーリ教育では、先生(大人)の位置づけは後者の援助。
- 子どもに何が必要かを判断
- いつでも十分に活動に取り組めるように教具などの環境を準備
- 子どもたち自身の活動にまかせて見守る
教えることよりも援助の方が、知識や技術、精神面で難易度が高くなります。
レッスンでの態度を毎回振り返りながら知識・技術をしっかり積み上げていきたいと思います。