人が活動を行う上で言葉が基本になり、幼児期の言葉の習得は本当に大切。
いろいろな言葉を身につけることにより思考や表現の範囲が広がり、文法を理解しながら、論理的思考力が育みます。
モンテッソーリ教育で行っている言語活動について紹介したいと思います。
大切な言葉の発達
人は言葉でものを知り、考え、伝えます。
また、言葉でイメージをふくらませたり、新しいつながりを見つけることで、発見や創造を生み出します。
子どもの頃にいつのまにか覚えて、何げなく話している言葉ですが、言葉を話せるようになるのは素晴らしいことなのですね。
子どもが最初に身につけるのは話し言葉(聞く・話す)。
2歳から発達し始め、7歳で完成すると言われています。
幼児期では、具体的なものやことから言葉を身につけていきます。
- ものに名前がつけられていることを知る
- 具体的な体験を通して、事物の動きや変化、状態、様子を表す言葉を身につける
- 筋道をたてて言葉を話す
このような幼児期の発達をふまえて、モンテッソーリ教育では次のことを目標に言語教育を行ないます。
- 言葉を豊かに身につけ
- その言葉の意味を正しく理解し
- 使用する能力(理解力や表現力)を養うこと
そのために具体的なもので言葉を理解したり、視覚教材でいろいろな言葉を習得します。
また、お話を聞いて言葉が示すものをイメージ化する力をつけます。
具体的なもので言葉を学ぶ
ピッコロコース(0歳)、ステッラコース(1歳)のお友だちには、具体的なものを使うと言葉の理解が進みます。
トレーに実物のなじみのあるものを3つほど用意します。
今回は、リンゴ、レモン、ミカンです。
先生がリンゴを手に取り、「リンゴ、リンゴだね」とお友だちに名称を言います。
臭いをかいだり、手に持ってもらいます。
実物を五感で把握しながら、物とその物に固有の言葉が結びつきます。
レモンやミカンも同じように確認します。
次は、「リンゴはどれ?」と聞きます。
お友だちは、リンゴを指で指したり、触ります。
聞いた名称に対応するものを自分で選ぶことで、具体的なものと言葉の結びつきが強まります。
アクションを起こすことで物の名前を理解して使うことで
- 名詞化による概念形成
- 「〇〇を△△する」言葉の構造(文法)の理解
が進みます。
「リンゴをここに置いてください」と、行動を促します。
聞いた名称に対応するものを選び、「置く」動作を行います。
リンゴ、レモン、ミカン、ぞれぞれをいろいろな場所に置いてみたり、「ママにリンゴを頂戴。」と渡してもらったりして、楽しみます。
このような活動を何度も何度も繰り返しながら、物の名前が定着していき、最後に自分でも「これは、リンゴ!」と言えるように発語へ導いていきます。
果物などお子様の親しみやすいものを複数(3種類ぐらい)用意して、3段階に分けて行うことで言葉の理解が進みます。
進んだ活動として、カードに書いてあるものの理解に進みます。
- カードの名前を聞く
- 聞いた言葉に対応するカードを選ぶ
- 同じカードを2枚用意して、同じカードの絵合わせを行う
といった活動を行いながら、言葉を理解していきます。
いろいろな言葉が理解できるように、いろいろな絵のカードを用意しています。
正月の小物を使った言語活動
今、幼稚園児クラスのお友だちは言葉の読み書きに興味を持っています。
そこで、かわいらしいお飾り用の正月にちなんだ小物を使って、言語の教材を作ってみました。
- ししまい
- まねきねこ
- こめだわら
- だるま
お友だちがあまり知らない言葉ですね。
それぞれの名前がひらがなで書かれたカードを用意します。
小物の名前を言います。
お友だちはうなずいたり、言葉を繰り返します。
そして、その言葉のひらがなカードを選んで、小物のところに置きます。
全部並べて、自分の知らなかった言葉を音と文字で理解します。
小物に興味を持っていただいたようで何人ものお友だちが取り組んでくれました。
そのうちに、小物を使って遊びが始まります。
小物の名前をつぶやきながら、何かを語っています。
物語が生まれているようです。
言葉を吸収したら、今度は会話やお話が出てきます。
その時には、お子様の話されることを聞いてあげてくださいね。
- いろいろな言葉を知るのは楽しい。
- もっといろいろな言葉を知りたい。
聞いてもらったら、新しいお話ができることに嬉しさを感じます。
お子様の発見や反応を受け止めることでお子様の興味は開き、知性がぐんぐん伸びます。
お子様の発達成長の特徴を深く理解して、お子様が楽しみながら学ぶことができる教材をこれからも作っていきたいと思います。