恩師相良先生からの贈り物

昨年亡くなられた恩師相良先生が最後に執筆された本を教室で紹介しています。
相良先生の新刊(中央)を教室で紹介

昨年亡くなられたモンテッソーリ教育の第一人者で恩師の相良先生の本が出版されました。

マンガでモンテッソーリ教育が語られていて、すいすい読めます。

エッセンスがぎゅっと凝縮され、モンテッソーリ教育の本質が理解できるので、教室のみなさんにおすすめしています。

この機会に相良先生との出会いを振り返ってみました。

 

相良先生の本がマンガで登場

本屋さんを覗いたときのことです。

相良先生の新しい本が出版されていました!

マンガ「ママ、ひとりでするのを手伝ってね!」。

1985年に出版されロングセラーの著書「ママ、ひとりでするのを手伝ってね!」がマンガになって新たに登場したのです。

 

「あっ、そういうことだったのか‥」

 

相良先生と最後にあったときのことが記憶によみがえりました。

モンテッソーリ教育の第一人者で恩師の相良敦子先生が昨年の6月末に亡くなられました。

昨年の5月に左京区にある相良先生のお宅に伺い、お話をさせていただいたのが、まさか最後になるとは思いもしませんでした。

お話の中で、相良先生がこんなことをおっしゃいました。

「今ね、画期的な本を書いているの。」

目が輝いています。

「みんなビックリするわよ!」

楽しそうに語られた笑顔が忘られません。

マンガでモンテッソーリ教育の本を書いたなんて‥

このことだったのですね。

本当にびっくりしました。

 

すぐに買って、読みました。

こんなストーリーです。

  • 子育てに奮するママが、モンテッソーリ教育を知ります。
  • モンテッソーリ教育を取り入れてみようと子育てに取り組みます。
  • うまくいったり、いかなかったり、一喜一憂の日々。
  • 相良先生が、ママにアドバイスをしながら応援。
  • ママはこどもの成長に、モンテッソーリ教育の手応えを感じる。

子育てに苦労するママの気持ちがよく出ていて共感します。

相良先生が登場するのもビックリです。

マンガのお顔の話し方、語る内容は先生そのもの。

その場に先生とご一緒させていただいているような錯覚を覚えます。

  • 自立したい子どもの気持ち
  • 幼児期に特有の「敏感期」
  • 子どもが持つ「知性」の働き
  • 子どもが大きく成長する「活動のサイクル」
  • 子どもの成長を促す「環境」

こういったポイントをおさえながら話が進み、各章ごとにまとめの文が入ります。

  • モンテッソーリ教育のエッセンスが絞り込まれ、的確な表現。

こんなにわかりやすくて、本質がしっかり盛り込まれたモンテッソーリ教育の本は見たことがありませんでした。

あらためて、ビックリしました。

本当におすすめです。

  • 新刊本
  • もととなった本
  • 新刊本の中でポイントとなる箇所を拡大してパネル展示

といった形で、教室で紹介することにしました。

皆様、パネルに見入ったり、本を手にとったりと興味を示されています。

 

相良先生との出会い

聖母女学院短期大学の専攻科で相良先生の指導を受けてモンテッソーリ教育を深く学びました。
大学時代のなつかしいスナップショット

相良先生は、聖母女学院短期大学で教鞭とっておられました。

私は幼児教育に興味があり、聖母女学院の児童教育学科の幼児教育課程を専攻。

その中で、幸いにも相良先生の教育講座を受講することができました。

まだあまり知られていなかった新しい教育方法が新鮮でした。

「子どもが活動に集中することによって変わる」

という説明を受けたのですが、

「そんなことって本当にあるの?」

と半信半疑。

もっと知りたいと思いました。

 

2年間の課程を経て、もう1年学ぼうと専攻科に進むことにしました。

迷うことなく、相良先生のゼミを選択。

毎週、ご指導をいただきながら、モンテッソーリ教育を深掘りする日々が続きました。

いろいろと迷う中、アドバイスをいただいて「日常生活活動」をテーマに終了研究に取り組みました。

 

モンテッソーリ教育の専門書や相良先生の本を何冊も買い込んで、初めての本格的な研究。

  • 日常生活活動は、「基本的生活習慣」の習得のようなものではなく、すべての活動や思考の土台となる。
  • 子どもの心身の全面的な発達は、肉体(随意筋)を使って活動することによってもたらされる。
  • 日常生活の活動は、運動の敏感期にある子どもの関心事から構成されているので、どんな運動よりも興味を持ち、自発的に行う。

子どもにとって、日常生活の活動はとても大切なことを理解。

こういった言葉が本当に新鮮で、宝石のようにキラキラ輝いてみえました。

 

また、実践に向けて

  • どのように、どんな日常生活活動を教材化していくのか

についても学びました。

 

論文としてなんとか仕上げ、提出。

「あなた、よくここまでモンテッソーリ教育のエッセンスを探り当てたわね。」

との相良先生からねぎらいの言葉をいただき、うれしかったです。

  • テーマ決めから研究を通して「見守る」
  • 論文に仕上げると、できたねと「承認する」

振り返ってみると、先生は幼児への接し方と同じように私に接してくれたのでした。

 

せっかく学んだのだから実践したい。

そう思い、モンテッソーリ教育を取り入れた活動を積極的に行っていた京都カトリック信愛幼稚園にアプローチ。

採用いただき、現場で実践しながらモンテッソーリ教育に関わり続けることができたのは幸運でした。

研修をはじめ、相良先生との交流は続きました。

今にして思えば、卒業後もアドバイスやお話をいただくことができたのは夢のような幸せなことだったのですね。

 

人生を使い切る

母子分離した2才児のクラスでモンテッソーリ活動をしている様子です。自立して自ら選んで活動することが成長の鍵です。かけがえのない子どもの幸せな未来を願いながら、レッスンを進めています。
母子分離した2才児のお友だちとモンテッソーリ活動

最近、女優の樹木希林さんが亡くなられました。

生前に語っておられたことが強く印象に残っています。

 

古くなったものもいろいろと利用して

「役目を果たし終えた」

と思えるように最後まで使うようにしています。

人も同じだと思うのです。

「十分に生きて、自分を使い切る。」

そう思えることを大切にしたいと思います。

 

モンテッソーリ教育の伝道師として、

学校で教えたり、執筆活動

依頼されたらどこででも講演

相談があれば、親身になってアドバイス

 

亡くなられる直前まで元気に活動をされていました。

「十分に生き、人生を使い切る」

相良先生は、まさしくそのような生き方をされたのではないかと思います。

 

相良先生に幼児教室を開いていることを伝えた時のことです。

「自分でしているの?」

「はい」

「あなたがねー。」

とビックリされていました。

そうおっしゃることに納得。

頼りない生徒だったので。

思わず苦笑いしたことが、なつかしいです。

 

 

より良く生きる「鍵」

幼児教育課程専攻科での終了論文に対し、相良先生から直筆で心あたたまるコメントをいただきました。
終了研究に対する心温まる直筆のコメント

修了論文への直筆での相良先生のコメントにこんな言葉がありました。

  • 「本質」とか「本物」に出会った人は幸いです。
  • その人は、生涯、良く生きるためのアンテナを得、鍵を手にした人だからです。

モンテッソーリ教育は、幼児教育の中で「本物」のひとつだと思います。

お母様にとって、より良い育児の「鍵」。

お子様にとって、これからより良く生きるための「鍵」になるのではないでしょうか。

 

相良先生は、私のより良く生きるための「鍵」です。

まさしく、先生は「本物」。

 

先生のお考えや行動を指針に、お母様やお子様に一生懸命に接し続けていきたいと思います。