新学期が始まりました。新しく入会されたお母様にお子様との接し方でお願いをしていることがあります。
日常生活の中でのお子様との接し方でも基本的な考え方はいっしょです。
日頃の育児のご参考になれば幸いです。
大人の役目
子どもは本来、自分の中に成長しようとする力を持っています。
適切な時期に適切な環境が与えられると、自分で成長します。
大人には信じられないくらい子どもは同じことを何回も根気よく繰り返し、深く集中していきます。
大人からすると、いたずらとしか思われないこと、例えば、ティッシュの紙を全部引っ張り出してしまったり、水道の水を出しっ放しで遊んだり、よくある事柄ですね。
見方を変えると、それは、彼らが興味を持って試している時で、やり方や現象を学んでいるのです。
子どもが「自分一人でできる」ようになるために、大人ができることは次の二つです。
- 適切な環境を準備する
- 適切な援助をする
お子様への接し方
ピッコロ・ステッラコースでは、親子でモンテッソーリ活動やリトミックに取り組んでいただきます。
特にモンテッソーリ活動でお仕事に取り組む場合、しつけをする、教えるといった視点ではありません。
- お子様の成長を援助する
という考え方で、次のような接し方をお願いしています。
必要最小限の補助
お子様にとって必要最小限の補助をお願いいたします。
お子様からやり方を尋ねられたり、困っているようでしたら、
ゆっくり、丁寧に、やって見せて下さい。
大人の速度の8倍が目安です。
行動と言葉の両方が同時に行われると、お子様は混乱します。
黙ってやって見せ、必要でしたら説明をしてあげてください。
適切な言葉がけ
「上手だね」
「すごいね」
お子様の活動の様子に思わずほめたくなりますが、過度にほめると、集中がとぎれたり、ほめれらることが目的になってしまうおそれがあります。
活動のできばえに満足して、お子様がお母様を振り返るときがあります。
「できたね」
と承認したり、うなづいてあげてください。
お子様はそれで十分満足し、また、活動に集中し始めます。
お子様の様子をよく観察しポイントを絞った言葉がけをしましょう。
選ばせる
モンテッソーリ活動の教具を多数そろえています。
見守って、お子様に選ばせてあげて下さい。
お子様の意志や、興味を育て、集中して活動を行うためです。
戸惑っているようでしたら、
「これがあるね」
とお子様が興味を持ちそうな教具を紹介したり、
「どれにする」
と選ぶことを促して下さい。
決して急がずに、じっくり待ってあげてください。
注意は必要最低限に
お友だちの活動を見ていてやりたくなって、お友だちの活動に割り込んでしまうことがあります。
ひとつの活動に集中できずに、次々と活動をとりかえることがあります。
落ち着いて活動できない場合があります。
お母様は、まわりのお友だちとなかよくきちんと活動をしてほしいもの。
どうしても、行動を促す言葉がけをしたり、注意してしまいがちです。
お友だちの活動に興味を持って強く反応する、興味や集中できる活動を探している、身体をしっかり動かしたい‥
お子様の中で活発に働いている「自ら成長しようとする力」に突き動かされて行動しているのです。
いじわるをしたり、ふざけたりといった気持ちなど少しもありません。
ただただ、成長しようとしているだけなのです。
その点を胸に刻んで、できるだけ見守ってあげてください。
ただ、お子様の行動が、お友だちに迷惑をかけるような行動や危ない行動になりそうな場合にはしっかり止めてあげてください。
その時に止めた理由を、感情的にならずに丁寧に説明するようにしてください。
自立した大人のように丁寧に接することが大切です。
お子様との素敵な関係
フィオーレコースになると、母子分離をしてひとりで活動することを学びます。
幼稚園児クラスでは、言語や算数など教育の基礎となる活動に本格的に取り組みます。
その成長を支えるのは、ご家庭でのお母様やお父様との関係です。
「しつける」「教える」のでなく、お子様の「自ら成長する力」を支援すること。
お子様が小中学校、高校、大学に進み、社会人になっても、このような姿勢を貫くことで、お子様との素敵な関係がずっと続くことでしょう。
子育ての時期は、本当に大変です。
でも、あっというまに過ぎてしまうのも確か。
娘は今年東京に就職しました。
息子も現在就職活動中で、20年以上にわたった子育ても一区切りがつきます。
振り返ってみると、二人が小さい頃の育児が一番充実していたように思います。
本当に幸せな時期でした。
1日1日を慈しみながら、将来にわたるお子様との素敵な関わり方を築かれてはいかがでしょうか。