教え方のヒント

モンテッソーリ教育のポイントは、子どもに 「してみせる」 こと

モンテッソーリ教育のポイントは、子どもに 「してみせる」 ことです。

これを「提示」と言いますが、今回は「提示」の事例をお伝えしたいと思います。

子どもと環境を結び付ける「提示」

生まれて間もない子どもは、日常生活を自分で行うことができるように環境のいろいろなものを使い方を覚える必要があります。

モンテッソーリ教育では、子どもに物の使い方を伝えることを、「提示」と言い、次のように定義されています。


提示とは
・子どもが見て
・理解して、真似して
・その結果、問題が解決できるように、大人がやって見せることです

 

そして、提示をしたら、後は子どもに任せて見守り続けます。

援助を求めているようだったら、もう一度提示をして、援助します。

「してみせて、見守り、援助する」のです。

教え込むのではなく、あくまで伝えるところがとても大切なポイントになります。


では、どんな提示をしたらよいのでしょうか。
良い提示とは、
・その子にとって
・見やすく
・理解しやすく
・真似しやすく
・その結果、問題が解決しやすい提示です


具体的には、一連の動作を大人が分析して、ひとつひとつの動作をゆっくりしてみせます。

子どもの脳が理解できるスピードは、大人の動作の8倍と言われています。

そして、見ることに集中できるように動作中は話しません。

こうすることで、子どもは集中して見ることができ、自分で学ぶのです。
動作が終わったら、簡潔に言葉を与えます。

 

お友達に 「靴下をはく」 提示をしました

梅雨に入ると足が雨で濡れて、靴下を何度も履き替える必要が出てきますね。

そこで、「フィオーレコース」と「ステッラコース」のお友達に、「靴下をはく」提示をしました。


お友達に集まっていただきます。
「みんな、靴下を自分ではけるようになるといいね。
今から、先生が靴下をはいてみます。
どうぞ、見てくださいね。」


・低い台にすわります。
・両方の足元にそれぞれ靴下を並べて置きます。
・片方の靴下のゴムのところ(入り口)を両手で持ちます。
・両手を交互に動かし、靴下を下の方まで手繰り寄せます。
・入り口をしっかり広げます。
・広がった入口につま先を入れます。
・靴下を広げながら、かかとも入れます。
・靴下を足首まで引き上げます。
・「はけたね。もう片方の足もはいてみるね!」
・もう片方の靴下について、同じ動作を行います。
・「はい、はけました。」


2分かけて、提示を行いました。
その間、お友達はじっと見ていました。

ゴムのところ(入口)を両手で持って広げた時には、ぐっと集中力が高まり、静寂が教室に広がりました。

子どもの学ぶ力の何と素晴らしいこと!素敵な感動を頂きました!

 

※最初は、ゆるめの靴下で練習してみましょう。

 低い台に座ってはくと履きやすいですよ。

 そして、つま先やかかとといった体の部位の名称も意識していってあげると語彙を豊かに  

 することができますね。

 

子どもの目線に立って伝える

モンテッソーリさんは、「提示」を、1900年前後の自分の体験から学びました。
幼児が集まった教室で、鼻水を出している子どもがいたのですが、上手に鼻をかめません。そこで、モンテッソーリさんは、その子に、ひとつひとつの動作の流れがわかるように、ゆっくりと丁寧に鼻をかんで見せました。

いつのまにか、他の子どもたちも集まって、じっと見ています。

そして、鼻をかむ動作をおえると、子どもたちが拍手!

子どもたちは、鼻をかむことを、ゆっくりと丁寧な動作で理解し、うれしかったのですね。モンテッソーリさんは感動しました。

子どもが理解できるようにしてみせる「提示」の方法を発見したのです。

 

今回の提示でも、モンテッソーリさんと同じような感動の気持ちを味わうことができました。

子どもの感覚は大人と違います。

ここをしっかり理解して子どもと接することで、子どもはどんどん吸収し、成長するのですね。

子どもの感覚、子どもの目線に立って「伝える」ことの大切さをあらためて学びました。
子どもの感覚、子どもの目線を常に意識して、お子様と環境をスムーズに結びつける。
お子様の成長をしっかり見守り、支援を一生懸命させていただきます!!